2026.08.12
消費者問題
お金が返ってこない…そんなときに知っておきたい「債権回収」のポイント
1.お金が返ってこないときは、早めの対応が重要です!

「貸したお金が返ってこない」「売掛金が払われない」などといった金銭トラブルは、個人・法人を問わず発生します。
このような場合、「そのうち払ってくれるだろう」「言いづらい」と様子を見て、対応を先延ばしにする方も少なくありません。
しかし、時間が経過すればするほど、「債務者が財産を処分してしまう」「行方がわからなくなってしまう」「消滅時効が完成してしまう」といった事態が生じ、回収が難しくなる可能性が高まります。
債権回収では、法律上の権利を行使するために、「いつ」「どのような方法で回収するか」という戦略が重要になります。
ここでは、実務における代表的な債権回収の手段を、任意交渉から裁判手続、強制執行まで流れに沿ってご案内します。
2.まずは話し合いによる解決を目指しましょう
債権回収の初動としては、いきなり裁判を起こすわけではなく、あくまで話し合いによる解決を図ることをおすすめします。
債務者の特性や状況にもよりますが、裁判所を利用する前に内容証明郵便や弁護士からの督促通知を送付することによって、支払いが実現するケースも少なくありません。

内容証明郵便は、「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容の請求をしたのか」を郵便局が証明する制度です。請求した事実を証拠として残すことができ、普通郵便で生じうる「届いていない」「書いてあった内容は違う」などといったトラブルを避けることが可能です。
もっとも、内容証明郵便そのものに強制力はありません。支払いに応じない場合には、次の段階の手続きを検討する必要があります。
3.裁判の前に「財産を確保する」という選択
任意交渉で債権回収が実現しなかった場合、すぐに訴訟や支払督促を行うのではなく、「財産を確保すること」の必要性の有無を検討しましょう。
なぜなら、今は債務者に支払能力があっても、裁判の判決が出る前に、債務者に財産を処分されてしまったり、隠されてしまったりしたら、債権回収は非常に困難となるからです。
代表的な財産保全の方法が「仮差押え」です。
仮差押えとは、判決が確定する前に債務者の財産を一時的に処分できないようにする手続です。例えば、預貯金口座や不動産、売掛金債権などを対象として仮差押えを行うことにより、債務者は、自身の財産であっても、対象となった財産を自身で勝手に処分することはできなくなります。
債権者は、裁判所に対して仮差押えの申立てを行い、債権が確かに存在することを示す証拠資料を提出して、裁判所の審査をうけます。裁判所が仮押さえを認めると、原則として債務者に事前に知られることなく執行されるため、財産隠しを防止できる可能性があります。また、財産を確保しておくことにより、勝訴判決後に強制執行で債権回収ができる可能性が高まることにもつながります。
一方で、仮差押えには、担保金を裁判所に納める必要があり、一定の費用がかかります。
担保金は、基本的には手続き終了後に返金されますが、一時的に少なくない金額(事案により異なります。)を用意しなければならないことを加味しますと、申立てに至る前に費用対効果を十分に検討したうえで利用することが重要です。
4.裁判手続(訴訟、支払督促)を利用しましょう

任意交渉での支払が得られない場合には、裁判所を利用した手続を検討します。
支払督促は、金銭、有価証券、その他の代替物の給付を求める場合に利用できる簡易かつ迅速な裁判所の手続きです。
支払督促は、通常の訴訟とは異なり書類の審査のみのため、審理のために裁判所に行く必要もありません。また、手数料は訴訟よりも安いのでコストを抑えて利用できます。
相手方からの異議がなければ、強制執行につながる債務名義を比較的短時間で取得することができます。
もっとも、債務者から異議申し立てがされると通常訴訟へ移行するため、必ずしも早期解決できるとは限りません。
訴訟は、裁判所に訴えを提起し、判決によって債権の有無や金額を確定させる手続きです。
判決が確定すると、相手方が任意に支払わない場合でも、その判決に基づいて強制執行を行うことができます。そのため、相手方が請求内容を争っている場合や、支払督促に異議が申し立てられる可能性が高い場合には、訴訟が適します。
一方で、訴訟は、支払督促と比べて、印紙代や郵券代などの費用に加えて、判決が出るまで一定の時間を要することが一般的です。
支払督促と訴訟のどちらが適しているかは、債権の内容や金額、証拠の有無、債務者が請求を争う可能性などによって異なります。
5.判決をとっても終わりではない―強制執行という手続き

判決や支払督促が確定したにもかかわらず、債務者が任意に支払わない場合があります。そのような場合には、「強制執行」という手続きにより、債務者の財産を差押え、債権の回収を図ることになります。
差押えの対象となる代表的なものとしては、預貯金、給料、不動産、動産(自動車等)です。
もっとも、裁判所が債務者の財産を調査し、差し押さえる財産を自動的に見つけてくれるわけではありません。例えば、給与を差し押さえるためには勤務先を、預貯金を差し押さえるためには少なくとも金融機関を把握しておく必要があります。
財産の所在が分からない場合には、弁護士会照会や裁判所を利用する財産開示手続等を活用し、債務者の財産に関する情報を取得できる可能性があります。
「判決を得れば必ず回収できる」というわけではなく、その後の強制執行まで見据えた検討や対応が重要です。
6.消滅時効に注意しましょう
債権には「消滅時効」という制度があり、一定期間権利を行使しないままでいると、債務者が時効を援用することによって、法的に請求できなくなる可能性があります。
そのため、債権は放置せず、時効が完成する前に適切な対応を取ることが必要です。
時効の完成を防ぐ方法としては、「催告」や「訴訟提起」、「支払督促申立て」などがあります。ただし、催告は、時効の完成を一時的に猶予する効果しかなく、その後6カ月以内に訴訟や支払督促などの裁判上の手続きを行う必要があります。
「そのうち払ってくれるだろう」と放っているうちに、知らぬ間に時効が成立してしまったというケースも少なくありません。
長期間回収できていない債権がある場合には、まず時効が迫っていないかを確認し、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
7.ぜひ、一度ご相談ください!

債権回収では、「請求できる権利がある」ことと「実際に回収できる」ことは必ずしも一致しません。どのような手段をどのタイミングで選択するかによって回収の成否が大きく左右されることも少なくありません。
債権回収でお悩みの方は、早期にご相談いただくことで、選択できる手段が広がり、より適切な対応をとることができます。
当事務所では、事案の内容をしっかりとお伺いしたうえで、支払督促・訴訟・強制執行などを含め、ご依頼者様にとって適切な回収方法をご提案いたします。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

