2024.05.07
離婚・相続・遺言
特別受益と寄与分の主張期限(令和5年4月1日施行の相続法改正)
1 特別受益・寄与分とは
親や配偶者など身近な人が亡くなった場合、故人が遺言書を残していなければ、故人の遺産について相続人らで遺産分割を行うことになります。そして、遺産分割においては、「特別受益」や「寄与分」が問題となることが間々あります。
「特別受益」とは、遺産の前渡しと評価される故人から相続人に対する贈与のことであり、「寄与分」とは、相続人が故人の遺産の維持や増加に貢献した場合に認められる当該相続人の分け前のことです。
2 特別受益・寄与分の主張期限
「特別受益」と「寄与分」について、従前は「いつまでに主張しなければならない」という期限はありませんでした。
しかし、令和5年4月1日に施行された相続法改正により、(相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合には)原則として故人が亡くなってから10年以内に家庭裁判所に遺産分割調停等の申立てを行わなければ、「特別受益」や「寄与分」の主張ができないことになりました。
なお、平成30年3月31日以前に亡くなった故人の遺産分割の場合は、令和10年3月31日までに遺産分割調停等の申立てを行えば、「特別受益」や「寄与分」の主張をすることができます。
3 最後に
「10年」と聞くと、まだまだ先のことのように感じられますが、時間が経つにつれて、「特別受益」や「寄与分」に関する資料を集めることは難しくなっていきます。
そのため、遺産分割に関するお困りごとがありましたら、お早めに弁護士にご相談ください。
※本記事は、令和5年12月時点の情報をもとに作成しています。