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2023.12.06

離婚・相続・遺言

放置された仮差押登記について

相続した不動産を売却しようとしたら、何十年も前の仮差押登記がされていて、売却手続きを進められないということがあります。仮差押というのは、訴訟の判決が出ていない状況で、債務者が財産の処分をできないようにする手続きです。あくまでも“仮”の差押ですので、競売等はできませんが、訴訟が進んで判決が出ると、本差押に移行して、競売ができるようになります。仮差押登記がされていると、後々競売されてしまうおそれがあるため、買い手の心理としては、購入を控えるということになります。

 

そこで、仮差押登記を抹消する必要が出てきます。抹消する方法としては、以下の3つが考えられます。

 

なお、何十年も前の仮差押登記なら消滅時効が完成しているのでは、と思われる方もいるかもしれませんが、実は仮差押は消滅時効の完成猶予事由ですので、その登記がされている間は消滅時効が完成することはありません(民法149条)。

 

① 債権者による取下げ

仮差押の申立を行った債権者と話し合って、取下げをしてもらうことが考えられます。上手く行けば一番早く抹消を完了することができますが、債権者からお金を請求される可能性もあり、話し合いが上手くいくとは限りません。

 

また、何十年も前の仮差押の場合、債権者本人はすでに亡くなっており、その相続人を調査して相続人全員と話し合いをしなければならない可能性もありますし、そもそも債権者本人の生死も不明ということもあり得ます。

 

② 起訴命令

裁判所から、仮差押をした債権者に対して、一定期間内に訴訟を提起するように命令をしてもらうことができ、これを起訴命令といいます(民事保全法37条1項)。裁判所の定めて一定期間内に訴訟提起がされない場合には、裁判所に仮差押を取り消してもらうことができます(民事保全法37条3項)。

 

取消の要件が明確ではあるのですが、債権者からの訴訟提起を誘発してしまう可能性がありますし、裁判所への申立を2回(起訴命令の申立、取消の申立)行わなければならず、少し手間がかかります。

 

③ 事情変更による取消

長期間仮差押登記が放置されている場合には、債権者の保全意思がなくなった(事情変更)として、裁判所が取消してくれることがあります(民事保全法38条)。当事務所では、80年以上放置された仮差押について、事情変更が認められ、取り消してもらえたことがあります。

 

②の起訴命令と異なり、1回の申立だけで良いのですが、何年放置されていれば事情変更に当たるのか、明確な基準がないため、事案によっては②の起訴命令を選択した方が良い場合もあります。

 

なお、現行の民事保全法は平成元年に制定されており、これより前の仮差押については、旧民事訴訟法が適用されますが、民事保全法と同様に規定(746条、747条)があるため、上記と同じように考えることができます。1点だけ異なるのは、民事保全法は「決定」で取消すとされているのに対し、旧民事訴訟法は「終局判決」で取消すとされている点です。終局判決の場合は口頭弁論を経なければなりませんので、最低でも1回は、係属裁判所に出頭しなければなりません。裁判所が遠方だったりすると、かなり大変です。

 

以上のように、単に仮差押登記を抹消するだけでも、いくつかの調査を踏まえてどの方法によるか検討する必要があります。放置された仮差押登記でお悩みの方は一度、当事務所までご相談ください。

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