2025.09.17
労働問題
弁護士資格を有しない者の退職代行の問題点について
1.退職代行サービスとは
近ごろは、退職代行サービスを利用して会社を辞めた人の話を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。退職代行サービスとは、会社を辞めたいと思っていても、なかなか上司に言い出せない、今辞めると会社に何か言われるのではないかと心配でどうしたらよいかわからないという人の代わりに、依頼を受けた代行業者が会社に対して退職の手続きをしてくれるというものです。
会社に行かずに、面と向かって上司と話をする必要もなく、代行業者に手続を任せて無事に退職できるのであれば、たしかに、面倒な思いをすることもなく、ストレスなく安心感を得られるかもしれません。
しかし、退職代行サービスを実際に利用したものの、退職をスムーズに進められなかったというケースも増えているようです。例えば、退職の意思表示を代行業者から会社へ伝えてもらったにもかかわらず、退職の手続きが進まなかった、会社から未払い給与や退職金を受け取ることができなかった等です。
2.トラブルを防止するためには
上記退職代行サービスのサービス内容には、弁護士法72条に違反するいわゆる非弁行為が含まれるのではないかという問題が指摘されています。弁護士法72を要約しますと、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務等を行うことはできないという規定です。
先に説明したような問題は、退職に関して法律上の様々な争点が生じるときに、そうした争点に関して、弁護士資格など専門的知識を有しない者が本人に代わって交渉等に臨むことが、非弁行為にあたるため処理できないことに起因するものといえます。
また、非弁行為の問題以前に、法的な専門知識が無ければ、法的に正しい交渉・処理も期待することができません。すなわち、専門的知識を有しない者が交渉にあたれば、正当な権利を実現できない可能性もあるほか、スムーズに退職できるどころか、かえって会社とのトラブルに発展しかねない場合もあるということです。このようなトラブルに至らないためには、法的問題に関しては専門的な知識と資格を有する弁護士に相談することが必要といえます。